「天然」だからいい?パンの話
こんにちは、横浜で訪れたBOOKOFFの本棚の美しさと品揃えに圧倒され、
アンチ横浜としての魂を抜かれてしまったルーペちゃんです。
同郷のマツコ・デラックスさん(千葉市出身)並には
横浜を敵視しているルーペちゃんなので、訪れるといつも
「ゴチャゴチャした街ねえ」「なんか人がギスギスしてるわねえ」と
悪態をつくのが常なのですが、今日のBOOKOFFの素晴らしさには
悔しくて悔しくて、ハンカチをくぅぅぅっと噛みました。
こんな美しいBOOKOFF見たことない!参りました!
さてみなさんパンは好きですか?
私は大好きです。来世はパン屋さんと結婚しようと思っている位です。
(来世でも他力本願)
あちこちの評判のパン屋さんのパンを食べることももちろん好きですが、
普段はもっぱらホームベーカリーで焼いた自家製です。
近頃のホームベーカリーは性能が良くて、ほとんど自分の思った通り、
場合によっては想像を超える出来のパンを焼いてくれて、
ありがたいことこの上ないです。
そうなると技術を磨くことは必要なくなるので、
興味は材料の方ばかりに向かいがちです。
どの粉がいいか、どんな具材を入れようか、水は、牛乳は、と
やっていくうち、天然酵母パンに凝り始めたことがありました。
干しぶどうや果物を水と一緒にビンに入れて2,3日置くと
ぷくぷくと小さい泡が出てきます。
5日から1週間くらいで酵母液として使えるようになり、それを粉と合わせて
「中種」を作ります。
この中種をパンの材料と一緒にこねると発酵してパン生地になります。
酵母液作り・中種作りともに科学の実験的な楽しさがあり、そのうち
ペットを育てているような愛着がわき、酵母を「うちの子」と
呼んだりしてしまいます。
ですが素人の悲しさ、どうしても雑菌が入ってしまってパンには使えなくなり、
何度か作りなおすうちに飽きてきてイースト菌に戻る、の繰り返しでした。
さて何もルーペちゃんの「家庭的アピ」をしたいわけではありません。
みなさん、「天然酵母」パンってどういうイメージをお持ちですか。
「天然」という言葉から「自然、健康、無添加」などの良いイメージが
浮かびやすいと思います。
しかし意外にもパン業界では「天然酵母」パンの表示に関する規定はないそうです。
自然界に存在する菌類である様々な酵母の中から、それぞれの用途に
適している菌を選抜して使用することで、安定した製品づくりを
することができるようになりました。
たとえばパンに使うイースト菌、納豆に使う納豆菌、酒造りに使う酵母、
ヨーグルトに使う乳酸菌、などなどは、自然界に雑多に存在する菌類から
その製品に適した酵母を選抜し、培養が行われたものです。
つまり雑多なままの酵母を使うか、そこから選抜された酵母を使うかの
違いでしかありませんので、特に「天然」が優れているとか健康にいい
などの効果は認められず、ゆえに天然酵母とそれ以外を分ける意味がないのです。
天然酵母のパンがイースト菌で作るパンと大きく違うのは、
雑多な酵母が複雑に作用し合った薫りと味わいにあります。
独特の酸っぱさが苦手だという人も、それがいいという人もいます。
あくまで好みやパンの種類による使い分けこそが重要であり、
イースト菌を使ったパンだからといって拒否反応を示すことも、
天然酵母を使ったパンだからといってむやみにありがたがることも、
実は意味のないことであると言えそうです。
参考サイト
社団法人日本パン技術研究所所長 井上好文 平成19年 1 月 9日