Dr.LOUPE Blog_

ドクタールーペスタッフ、ルーペちゃんがお届けする健康と生活にまつわるブログ

障がいのある人が働く施設、ファールニエンテに行ってきた【後編】

こんにちは、ペコちゃんです。前回に続き、横浜市泉区にありますファールニエンテさんのご紹介です。

●どれもおいしいんです!!

敷地内の畑で小麦や野菜を栽培し食堂やベーカリーで使っているファールニエンテ。パスタもピッツアもサラダも美味しくて口コミでお客さんが増え、週末はもちろん平日も並んでいます(食堂は11時オープン、少し前に行って待つか、遅めのランチをおすすめします)。

いただいたメニューはこちら。キッズセットにはパスタとピッツアがあります。ドリンクとクッキーがついて600円。

ネコかな?チーズマヨコーンのピッツア。

ミートソース。

クッキーはベーカリーで購入もできます。

生ハムとほうれん草のペペロンチーノ サラダドリンク付1300円。上にのっているとうがらしは隣りの畑でつくられたもの。

こちらは以前いただいたもので、しらすとトマトのピッツアです。

ピッツアは生地が柔らかくてもちもち、何ものせずそのままでも食べたいくらい。自家製の小麦を系列の障がい者施設「共働舎(きょうどうしゃ)」(横浜市泉区)にある石臼で製粉しています、石臼を使うことで香ばしい小麦になります。直径30cmほどの大きいピザなのですが、ぺろりと食べられてしまいます。普段あまりパンなど食べない甥っ子ももぐもぐ食べあっという間に完食。

ピッツアもパスタも旬の具材をメインにしたおすすめメニューがあります。その日にとれたものでつくられるので、日によっておすすめが変わります。(畑にはいんげんの花が咲いてきていたので、もう少しで食堂に並ぶかな)

時間をずらしたランチは比較的空いているのでおすすめですが、その日限定メニューが売れてしまうのが悩ましいところ。

●働いているのは・・・

大きな窯があり席からも見られるところでピッツアが焼かれています。そこでピザを焼いている方、そして水や食事を運んでくれた方、隣りのベーカリーのレジの方、畑やハーブやお花を育てている温室にも障がいをもつ多くの方がサポートするスタッフの方と一緒に働いています。お客さんにおいしかったありがとうと声をかけられてはにかみながらうれしそうな表情が印象的です。

サポートするスタッフの方々とのやりとりを見かけることがあります。パンの袋の入れ方、お客さんへの伝え方、お花の植え替えのこと、丁寧に伝えているけれども、べったりと構い過ぎず、でも分かりやすい言葉で、優しいけれども、優しすぎないその様子がとても自然で、必要なサポートをするけれども、過保護ではなく、障がいを持つ子の親の立場の私にとって、学ぶことがお店に行くたびにたくさんあります。お店も、働く皆さんもキラキラしている。

●ファールニエンテの意味

Far nienteはイタリア語。英訳はdo nothing、「なにもしない」を意味しています。そこにいるだけで満ち足りる、優雅な時間を過ごすことのできる場所

お店の案内に、「誰もがお互いを認め、そこにただいることのできる空間を目指す」とあります。「そうなったらいいな」ではなく、「目指す」。このような空間を普段なかなか見つけることは出来ません。「私たちが作っていく」という強い気持ち感じます。

●イベントもあります!

ゴールデンウィークには、いろいろな参加型イベントが計画されています。決まったらHPにアップされるので興味ある方覗いてみてください。今までは草木染め、陶器に自分の好きな絵を描く、ガラスの模様付け、食堂にもたくさん飾られている(購入もできます)麦わらで作るヒンメリ作りなどがありました。我が家も参加する予定です、今から楽しみなペコちゃんでした。


小麦畑の石窯ベーカリー&食堂 Far niente(ファールニエンテ)
横浜市泉区和泉町1011-1
電話:045-392-3225
ベーカリー 10:00~18:00
レストラン 11:00~18:00(L.O17:00)
定休日:木曜日(臨時休業、営業時間の変更もあるのでサイトをご確認ください)
横浜市営地下鉄「下飯田駅」すぐ
相鉄いずみ野線「ゆめが丘駅」より徒歩8分
駐車場完備

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障がいのある人が働く施設、ファールニエンテに行ってきた【前編】

こんにちは、ペコちゃんです。

4月ですね。入学、入園そして進級の皆さまおめでとうございます。我が家も小学4年生、2年生になりました。ついこの間入学したと思ったのに・・・このままいくとあっという間に卒業式が訪れそうです。

●娘の進む道を考える

娘のいる個別支援級では、年に数回開催される懇談会を利用して、卒業された先輩お母さんに来ていただきお話を聞く時間を作ってくださっています。その時驚いたこと、何と多くの方が小学校入学後すぐに中学校卒業後の進学先やその先の就職先などを調べたり見学に行っていること!!

1年前、小学校生活もはっきりイメージできていなかった私には衝撃的でしたが、早めに進路先の様子を知ることで将来進む道をゆっくりと考えることができるそしてそのために必要なことを、余裕を持って準備ができるのです

それからは意識して「障がいのある人が働く場」に行くようにしています。今日はその中のひとつ、横浜市泉区にあるファールニエンテさんをご紹介します。

その前に・・・「障がいのある人」といっても人それぞれ、タイプがあります。小学校進学時でも、支援学校か学区の小学校普通級か個別支援級と選ぶように、学校卒業後に進む道もわかれます。「進む道」を考えていく中で色々な専門用語が出てきて私は最初?マークがいっぱいだったので、少しご説明しますね^^

●ファールニエンテは障害福祉サービス事業所

ファールニエンテは主に知的に障がいのある人が働く障害福祉サービス事業所で、社会福祉法人開く会が運営しています。

障害福祉サービスとは、障がいを持つ人の日常生活において困難なことに対して支援をしてくれるものです。訪問介護や施設入所などの生活補助、そして自立のための訓練や就労に関する日常活動支援

ファールニエンテで働いている障がいを持つ皆さんは、日常活動支援サービスの就労継続支援AまたはB型就労移行支援のその人に合わせた「訓練等給付」を受けています。

・就労継続支援B型

一般企業などで働くことが困難な人に働く場を提供し、知識や能力の向上のために必要な訓練を行います。リハビリをかねた働く機会と場所を提供するサービス。労働に対して賃金が支払われます。

・就労継続支援A型

B型と同じ支援ですが、大きな違いは事業所と利用者が雇用契約を結ぶことです。その地域の最低賃金が保障されています。

・就労移行支援

一般企業などへの就労を目指すための支援が受けられます。事業所によってですが、資格取得のための勉強や経理などを学べるところもあります。

これらの支援サービスを受けるためには、各種療育手帳が必要です。その上で、その人がどう働いていきたいか、適性はどれかなど学校の先生や市町村の担当の方との話し合いで受ける支援が決まります

障がいの重さによって分けられているのではないことは、ひとりひとりを見ていただいているということ、うれしいです。障がいの「軽い」人が、むずかしいことをできるというのではなく、むしろ困難なこともあったりします。その人の得意なこと、合うことを考えてもらえるこの機会ありがたいです^^

●いざファールニエンテさんへ

予備知識をお伝えしましたので、参りましょう。横浜市営地下鉄下飯田駅を出ると、目の前に見える緑に囲まれた三角屋根、小麦畑の石窯ベーカリー&食堂 ファールニエンテ(Far niente)さんです。駐車場もあるので、車でも大丈夫。

入口入って右手がベーカリー、左手がパスタやピザ、デザートの食べられる食堂。食堂というよりも、カフェやイタリアンレストランと呼ぶ方がしっくりくる雰囲気です。

こちらが案内図です、広い敷地に小麦や野菜畑、ハーブ園があり、食堂やベーカリーで使うものを生産しています。

敷地内は自由に散策できます。夏に向けてこれから畑がどんどん賑わっていくそうですよ!

 

いんげん(小麦が挟むように植えられていますが、害虫からいんげんを守るため)

サニーレタス、パセリ、小麦。空いているところは、今日食堂のサラダになったサニーレタスが植えられていたところ。

他にも旬の野菜や小麦の生産、お花などの植物の栽培、畑やガーデンの手入れ、パンを作ったり、ピザを焼いたり、接客といったすべての作業に障がいのある人が携わっています

長くなってしまったので続きは次回に。いつ行ってもお客さんでいっぱいの食堂、メニューなどもご紹介しますね!

小麦畑の石窯ベーカリー&食堂 Far niente(ファールニエンテ)
横浜市泉区和泉町1011-1
電話:045-392-3225
ベーカリー 10:00~18:00
レストラン 11:00~18:00(L.O17:00)
定休日:木曜日(臨時休業、営業時間の変更もあるのでサイトをご確認ください)
横浜市営地下鉄「下飯田駅」すぐ
相鉄いずみ野線「ゆめが丘駅」より徒歩8分
駐車場完備

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「人と何か違うことがある」ということで。

こんにちは、ペコちゃんです。時々、というか頻繁にドクタールーペブログを読み返します。日常の知恵を改めて試し、いつかまたゆっくり訪れたい沖縄の情報を見直し、山梨の名産に胸をときめかせ、梨娘ちゃんのことを自分の娘とかさねて思いをはせたり。先日は一昨年春に書かれたルーペちゃんの記事が目に止まりました「このヒトコトで、不思議と気持ちが切り替わる」というタイトルのものです。

詳しくは記事をご覧いただきたいのですが、作家で精神科医の斎藤茂太氏のおまじないとして唱える言葉「まあ、いいか」が紹介されています。落ち込みそうになるとそうつぶやき、口にするだけで心の切り替えができるようになった、とのこと。ルーペちゃんもどこにも持って行き場のない気持ちが、「まあ、いいか」と唱えると、スッと軽くなったそうです。

気持ちの切り替えが上手ではない私、試してみたらやっぱりスッと心が軽くなりました。自分にはどうしようもできないことって沢山ある、そんなときはまた使えるようにおまじないとして持っておきたいなと思います。

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●エグモントホイスコーレの

以前、エグモントホイスコーレというデンマークの学校をご紹介しました。デンマークにある全寮制の学校で、約200名の生徒が在籍しそのうちの約1/3の方は身体・知的・精神に様々な障がいをもっています。彼らは国のアシスタントヘルパー制度を使って、クラスメイトでもある障がいのない生徒を雇うことで食事や排泄、買い物や旅行といった日々の暮らしを営んでいます

エグモントホイスコーレ在籍23歳のデンマーク人Jacob Riis(ヤコブ リース)さんのある夢を叶えるため、立ち上がった仲間たちのドキュメンタリー映画があります。

●『リース遠征隊ドキュメンタリー ガルフピッゲンの夢』

まずヤコブさんのことを・・・サッカーが好きでプロ選手になることを夢見ていた少年でしたが、今から8年前15歳のときにマチャド・ジョセフ病と診断されます。マチャド・ジョセフ病とは、進行性のある脳萎縮性の疾患で筋萎縮や筋力低下を伴うことが多いものです。ヤコブさんは発話がむずかしく、嚥下障害があり終日介助が必要、車椅子での生活を送っています。エグモントに入学しアドベンチャーコースを選択し、授業を通してアウトドアの楽しみを知りました。

2015年8月、ヤコブとその仲間7人は北ヨーロッパ最高峰ノルウェーのガルフピッゲン山を登頂します(標高2,469m、緯度が高いため日本で言えば4,000m位に相当すると言われています)。登山の計画は、ヤコブさんの自然の中でワイルドな経験をしたいという情熱が発端となりました。話を聞いたヤコブのヘルパーである生徒や、諦める事なくできるだけ多くの経験をしたいと考えるヤコブを応援する仲間が集まり、リース遠征隊がうまれたのです。

車椅子に乗るヤコブを仲間が押し進み、険しい道のりが何度も押し寄せる中車椅子を持ち上げたり、時には背負って登頂を目指しました。映画では、旅の計画、資金調達、準備や介助とチームで行った一連の記録が収められています。

●良き人生とは

エグモントホイスコーレでは、「よき人生」を実現することが求められています。ここで言われる「よき人生」とは、自分の人生を自分で決め、様々な活動を通して、1人の人間として全うし、すべての人がお互いに支え合いながら生きていくことです。

私が滞在していたときに、年齢や性別、立場関係なく心をオープンにして話しをする姿を頻繁にみました。そしてこう感じたのです、人間それぞれ個性を持つ存在であること、違ってもお互いに尊重することが大切だということ、すべての人が対等であるということ。

当初リース遠征隊の動機はヤコブの夢のためでした。けれども、最初から最後まで一緒に計画を立て、一緒に楽しみ、目標を実現させる中で、遠征隊8人みんなのための登山となったのです。リース遠征隊の登頂までの道のりを通して、映画では人は人と繋がりながら、お互い協力し合い生きていくことの大切さを伝えています。ヤコブも仲間の7人もお互いに支えつつ支えられている。

「人と何か違うことがある」というだけで、人生の楽しみを、夢を持てないことがなくなるといいなと思うペコちゃんなのでした。
『リース遠征隊ドキュメンタリー ガルフピッゲンの夢』は今月東京、栃木、三重、大阪で上映されます。

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