Dr.LOUPE Blog_

ドクタールーペスタッフ、ルーペちゃんがお届けする健康と生活にまつわるブログ

ペコちゃん息子、合宿に行く。

こんにちは。先日初めて大船観音に行ってきたペコちゃんです。ご存じない方が大半だと思うのですが、JR大船駅から徒歩7分にあるお寺にある観音様なのです。
大船駅のホームが近付くと山の中から見え隠れする観音様の顔。そう、顔のみ。行って見れば上半身のみなのです。ペコちゃん30年ほど前から気になっていたのですが、いつも電車内から見るばかり。

今回大船に用があったついでに友人と尋ねてみました。観音様の前には広々とした芝生があり、こどもたちは走り回り楽しそう。高台にあるので眺めもよく、のんびりといい時間を過ごせました。地元でも知らないところってたくさんあるなぁと、気持ち新たにあちこち散策しに行きたくなりましたよ。

ちなみに観音様の胎内に入れるのですが、そこにあった自由に記入できるノートに「今まで電車から見るばかりでしたが、やっと来れました」というものが多数!!みんな一緒ですね。

●『保育園のこと・・・』

さて話は変わって、ペコちゃん息子ですが来春に小学校入学。保育園最後の一年です。のびのびと自然の中めいいっぱい過ごし、こどもたちの自主性を大切にしてくれる園で、こどもたちもペコちゃんもここで過ごす毎日が大好きで す。たくさんの楽しい行事があるのですが、年長さんクラスで毎年恒例のものがあり、おもしろいのでご紹介させていただきます。

●『おおぞら合宿。』

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おおぞらというのは年長クラスの名称です。ある金曜日1日保育園でいつものように過ごし、そのまま保育園に泊まるのです。カレーを作って、みんなで順番にシャワーを浴びて、夜ホタルを探しにお散歩に行き、と普通のお泊りのようですが、ひとつ大きな試練がこどもた ちを待っているのです。

・・・・・さかのぼって一カ月ほど前、園庭の桜の木の枝に何かがひっかかっているのをおおぞら組の子が見つけました。何か筒のよう。巻いてあった紐をほどいて広げてみると、こう書かれていました。

「いつもおおぞらぐみのみんながたのしくあそんでいるのをみてます。ふえのおとも」

その後は紙が千切れてしまっていて読めません。「誰からだろう?」「笛の音、聞いているのかな?」と不思議がいっぱいのこどもたち。笛というのは園の取り組みで、近くにある発表会のためみんなで毎日練習しているものでした。

翌日、お散歩に出かけた公園で紙の切れっぱしをみつけたこどもたち、そこにはこう書かれていました。

「きれいにきこえます。わたしはいつもひとりなのでみんながうらやましいです。わたしもいっしょにふえをふきたいです。やまのとりたろうより。」

「昨日園庭にあった手紙の続きじゃない!?」「やまのとりたろうさんって名前なんだね。」「さびしいって・・・かわいそうだね。」こどもたちは相談して、とりたろうさんに手紙を書きました。

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「やまのとりたろうさんへ ふえをプレゼントします。つかってください。おおぞらぐみのみんなより。」

そして園に余っていた笛を一緒に袋にいれて、最初に手紙を見つけた園庭の桜の木にくくりつけておきました。

翌朝、一番最初に登園した子が急いで見に行くと、袋はありませんでした。「とりたろうさん、わかったかな?」「鳥が届けてくれたかもしれない。」「ふえ、吹いてるかな?」数日後、また桜の枝に手紙がかかっていました。

「このまえはおてがみとふえをありがとう。とってもうれしかったです。みんなといっしょにれんしゅうしていたのだけど、てがすべってふえをおとしてしまいました。ニョキニョキ山のあたりにおちたとおもいます。わたしはさがしにいけないので、みんなさがしてくれますか?」

ニョキニョキ山とは園の裏手にある山です。「ニョキニョキ山の上で笛を聞いていたんだね。」「急いで探しにいこう!」「先生、今から行ってもいい?」
先生に相談して今日の予定を変更し、ニョキニョキ山へ行くおおぞら組の20人。

落ち葉をかき分けたり、木の枝の間を一生懸命探します。「あった!!!!!」とりたろうさんにあげた笛を、みつけました。帰ってさっそく手紙を書きます。

「とりたろうさんへ にょきにょきやまへみんなでさがしにいったらふえありました。もうなくさないでね。」

またなくしてしまっても大丈夫なように笛に「やまのとりたろう」と名前を書き、手紙と一緒に袋に入れていつものところにかけておきました。

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ニョキニョキ山

翌朝、袋はなくなっていて、手紙が置いてありました。

「おおぞらぐみのみんな ふえをみつけてくれてありがとう。またいっしょうけんめいれんしゅうします。みんなもはっぴょうかいがんばってね。こっそりおうえんしにいくね。」

そう、その翌日は笛の発表会、みんなとりたろうさんが応援してくれていることを胸に堂々と演奏しました。
そしてまた翌日手紙が届き、

「きのうはみんなとってもすてきでした。わたしもはくしゅいっぱいしました。みんながんばったので、おいわいときねんにいっしょにふえをふきたいなとおもいます。ほいくえんにあいにいってもいいですか?わたしはよるのまっくらなときにしかいけないです。」

とりたろうさんに会えると大喜びのこどもたち。でも、いつも夜にはみんな園にいません。会えないねとがっかりしているとひとりの子が、「じゃあ園に泊まればいいんじゃない?」「泊まってもいいの?」「ごはんとかどうするの?」「おかあさんといっしょじゃなきゃいやだ。」

みんなで意見を出し話しあいます。そして「とりたろうさんいつもひとりでかわいそうだから、一緒に笛を吹いてあげよう。園に泊まらせてくださ い、と先生にお願いしよう。」とまとまりました。
さっそく担任の先生に相談して、一緒に園長先生にお願いしにいくと「おうちの人に泊まってもいいか聞いてきてね。」との言葉。

お迎えに来たお父さん、お母さんにすぐ聞くこどもたち、家でゆっくり落ち着いてから実はねと話し始めるこどもたち様々でしたが、全員が泊まれることになりました。そうと決まってからは喜びをかくしきれないこどもたち、笛の練習にもますます力が入ります。

●『いよいよ合宿当日・・・』

そして迎えた当日、夜のお散歩から帰ってくると玄関の前に手紙が落ちていました。

「きょうはありがとう。みんなにあえるのとてもたのしみにしていました。でもはずかしいのでひとりひとりあいにきてください。おとなにわたしのすがたはみえません。にかいでまっていますね。」

びっくりするこどもたち。みんなで一緒にとりたろうさんに会えると思っていたからです。2階をのぞくと真っ暗・・・・そうです、とりたろうさんは真っ暗なところにしかいけないからです。

号泣する子たち、緊張から青白い顔をして黙りこんでしまう子、会いたい!と意気込む子たち。またみんなで相談します。「みんながんばって会いに行こう。会いにいくのはひとりだけど、みんなのこと応援しよう。」
そうして先生から布をもらい、たすきを作りひとりずつ自分の名前を書きました。

そうしているととりたろうさんのいる部屋から笛の音。
「とりたろうさんが呼んでる。おれ行ってくる!」タスキをかけて自分の笛を持ちひとりの子が部屋に入っていきました。「がんばれーーー」後ろからはみんなの大声援。

しばらくして駆けて戻ってきました。
「会ってきた!一緒に笛吹いた!最後握手したよ優しかったよ!」
それを聞いて安心したこどもたち、続々と後に続きます。

大泣きで絶対行かないと言い始める子、足がすくんで動けなくなる子、次行く!と言っても行けないを何度も繰り返す子・・でもみんなで声を掛け励まし合います。

「怖いのは最初だけだよ」「おれたちとおなじ手だったよ」「いいにおいするよ、だから大丈夫」「ちからあげるよ!」

みんなから勇気をもらい、「行ってくる!」「がんばってくる!」「おれそのつぎ行く!」時間はかかりましたが20人全員とりたろうさんに会っ て一緒に笛をふくことができました。そしてみんなで、応援してくれたたくさんの先生たちと一緒に喜び合いました。

●『なぜ合宿をするのか・・・』

お父さんお母さんと離れてお泊りができるだろうか、夜にひとりでとりたろうさんに会いに行けるのか、こどもたちひとりひとりが自分自身と葛藤し勇気を振り絞ります。

「暗くて怖い、中はどうなっているの?でもとりたろうさんに会いたい。一緒に笛をふきたい。」心を揺り動かして一生懸命考えます。そして勇気を振り絞って、「腹をくくって」一歩を踏み出します。ここぞという大事なときに「腹をくくる」その力が、この先の長い人生でおこるたくさんの試練に挑戦する力をもたらしてくれます。

応援してくれる、喜び合ってくれる仲間の力を借りて、自分の力を発揮できるようにもなります。でもたくさんの仲間の力を借りたとしても、最後に決めるのは自分、ということもこどもたちは自然に理解します。
翌日迎えに行くと、息子の後ろ姿が大きく見えました。合宿のことを話してくれる様子に、自信と誇りがみえました。

「腹をくくる」「自分を信じる」「仲間と支えあう」

ペコちゃん最近になってやっとこのことの大切さを身にしみて感じたように思いますが、こどもの頃にこのような経験ができて感じたことは、とても大きい。
そして、手紙を読んで考えて相談して行動しているのはすべてこどもたち自らです。「自分で考えて行動すること」も腹をくくる」とともに、大切なことだと思います。

時間をかけて見守ってくださった先生方に感謝するとともに、これからのこどもたちの成長を楽しみに感じるペコちゃんでした。

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オニヤンマも成長

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