Dr.LOUPE Blog_

ドクタールーペスタッフ、ルーペちゃんがお届けする健康と生活にまつわるブログ

「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」に行ってきた

こんにちは、初詣で引いたおみくじが数年ぶりに大吉だったルーペちゃんです。
意外と出そうで出ないものじゃありませんか?大吉って。逆に小吉末吉中吉の多いこと!
これからどんないいことが起こるのかな~♪(←二重の意味でおめでたい人)

●ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)

IMG_6445.jpg

先日ルーペちゃんは娘と掲題の展覧会を観に千葉市美術館に行ってきました。
スロヴァキア共和国の首都ブラティスラヴァで2年毎に開催される絵本の国際コンペティションで、1967年から50年近くの歴史があります。
今回千葉市美術館にやってきたのは2013年に開催された第24回のもの。
グランプリをはじめとする受賞作品のほか、日本からの出品作品が紹介されています。

●表現方法が多彩

作品は、布や新聞紙を貼り付けたり銅版画や切り絵やCG、様々な技法を使って描かれています。
ひとえに印刷技術の向上により、絵本という商業的印刷物にもこうした多用な技法が使えるようになったためです。今の子供って幸せだな?。
ただ、いくら印刷技術が向上したとはいっても、原画の生々しさを目の当たりにすると、やはり印刷物で見る絵というものはかなりの分量の魂を抜かれてしまっているのだなぁと思わざるをえません。

なお、会場には展示してある絵を使った実際の絵本が閲覧できるようになっているので、原画はこうだけど実際の本ではこうなる、という違いを確認することができます。
以下、私の印象に残った作品を図録よりいくつかご紹介します。(以下敬称略)

●印象に残った作品

まずグランプリに輝いた、エヴェリーネ・ラオペ&ニーナ・ヴェーアレ(スイス)の「大洪水」

IMG_6439.jpg

展覧会場に入ってすぐ、このモノクロの精密画がバーンと出てきたので展覧会場を間違えたかと思ってしまいました。あれ、ここ絵本画の展覧会じゃないの?と。

鉛筆で描ける技法は全て使った、とでもいうような多彩な技法を駆使して描くこの独特の世界は、静かでピンと張り詰めた緊張感に満ちていて、旧約聖書の世界の神聖さが際立って表現されています。
ピカソの「ゲルニカ」を思いおこさせるこの圧倒的な緊張感、ぜひ現物を観ていただきたい。

IMG_6438.jpg
スズキコージ(日本)の「わかがえりの水」は英字新聞や色紙を貼り付けてあったり、絵の具を盛り上げて絞り出した後、先の細い棒で引っ掻いて味のある模様を描いたり、子どもたちが絵を描く際のヒントになりそうなテクニックがたくさんつまっていました。

IMG_6441.jpg
イヴォナ・フミュレフスカ(ポーランド)の「女の子の王国」は初潮を迎えた女の子の日常と心情を描いた作品。レースやシフォンの布を効果的に使って、女の子らしい華やかさと清らかさを表現しています。ブラジャーの紐を描くのに実際のレースを貼り付けてあって、クスっとします。
柔らかいのに冷たい、どこか緊張感漂う不思議な作品です。

IMG_6446.jpg
牡丹靖佳(日本)の「おうさまのおひっこし」は涙がでるほど清廉な美しさに満ちています。「ああっワタシ心が穢れてました!ごめんなさい!」と謝りたくなります。鉛筆と極々うすーい水彩画の絵ですが、全くごまかしのない、全身全霊をかけて描いたとわかる作品です。
作者はコメントで「絵本は子どもとの戦いです。(中略)打ち負かすつもりで、制作しました。」と語っていました。はい、大人も打ち負かされました。

●一冊だけ買うとしたら

IMG_6440.jpg
この中から私が一冊だけ絵本を買うとしたら、木内達朗の「あかにんじゃ」でしょうか。
全身真っ赤な忍者が任務を遂行するというナンセンス絵本。どこがどうというわけではなくて、じわじわとくせになる何かがあります。飄々としてカワイイ、不思議な魅力です。

●子供審査員賞

IMG_6396.jpg

本家BIBでやっている「子供審査員賞」にちなんでこちらの展覧会でもやっています。
受付で子供は星のシールをひとつもらいます。
全部見終わったあと出口に出品作品一覧のボードがあるので、自分のお気に入りの絵に星のシールを貼っていきます。

面白い試みなのですが、ひとつ意見を言わせてもらうと、子供はとても周りに流されやすい!ので多く星がついている作品に我も我もとつられて投票してしまいがちなのです。
正確に実施するとしたら投票数が見えないようにした方がよかったかもしれません。(イベントとしての盛り上がりには欠けるけど・・・。)

案の定、うちの娘も一番多く星がついている作品に投票し、「ほんとは◯◯の方がよかったんだけど・・・」と言っていました。別に誰も何も言わないのに、なぜそこで流れに乗っかるかな~。

●会期・料金

千葉市美術館での会期は3月1日まで。その後は
・4月11日~5月24日 足利市立美術館
・7月11日~8月30日 うらわ美術館
で開催されます。世界各国の多彩な絵本画を一堂に見られる貴重な機会ですのでぜひお出かけしてみてはいかがでしょうか。

料金は高校生まで無料、一般は800円。ですが、子供を連れて行くと親子割引で保護者2人まで500円です。ぜひお子さんとご一緒に。

千葉市美術館

●原画展の後は建物鑑賞

ところで千葉市美術館は建物も一見の価値ありです。
建築家・矢部又吉により川崎銀行千葉支店として昭和2年に建てられた、ネオ・ルネッサンス様式の重厚な建物です。
が、外から見るとこんな感じ。

IMG_6426.jpg

よくある近代的なビルですよね。
実はこの建物を保存・復元するにあたり、「さや堂方式」と言う「古い建物に覆いかぶさるように新しい建物を建てる」やり方をとったので、中は古くて外は新しい、という独特のスタイルになったのです。

IMG_6420.jpg

ビルに入ったら中にもうひとつ古い建物があった!みたいな感じで面白いですよ。

IMG_6417.jpg

個人的には天井の繋ぎ目の部分が萌えます。

その日はイベントがあって入れなかったのですが、「さや堂ホール」と名付けられたアトリウムが当時の面影を残したシックな雰囲気で素敵なのです。千葉市美術館におでかけの際はぜひ建物見学も!
ではまた。ルーペちゃんでした。

>>>レントゲン読影サービス ドクタールーペ<<<